大阪維新の会、日本維新の会など何かと話題の橋下徹さん。橋本さんはスピーチのうまさに定評があります。バラエティ番組や演説で培った橋本さんのスピーチ術をマスター出来れば人前でスピーチをするときにウケること間違いありません。今回は橋下徹さんのスピーチ術を紹介します。
■スピーチにはストーリーが大切
人間はストーリーが大好きな動物です。文字が発明される以前から、ストーリーが語り継がれていますよね。世界中のどの民族にも、語り継がれてきた神話や民話があります。それはストーリーという形式が、人間の記憶に残りやすく、心を動かすからです。
■スピーチとストーリーの黄金律
上手なスピーチには、ストーリーの黄金律があります。それは、
- 何かが欠落した、もしくは欠落させられた主人公が、
- なんとしてもやりとげようとする遠く険しい目標・ゴールをめざして
- 数多くの障害・葛藤・敵対するものに立ち向かっていく。
人は、すべてが完壁に満たされている主人公にはなかなか感情移入できないものです。何かが欠落していたり欠落させられたりした状態の主人公が頑張るから、応援しようと思うのです。ドラマやアニメでも感情移入する主人公は最初から完璧ではないですよね?目標やゴールが遠く険しいほど、それをめざす主人公が魅力的に見えるものです。どんなに目標やゴールが遠く険しそうに見えても、主人公がそれを簡単にクリアしてしまえば「なんだ」という感想を抱いてしまうのが人間だからです。まずは、ストーリーの黄金律に沿った主人公像に近づくことが必要です。
■ストーリーの黄金率に橋下徹さんのスピーチに当てはめると?
国や都市が再生していくストーリーと、演説者やその党が這い上がってきた2つのストーリーが交錯し、聴衆の中で一体となっています。橋下徹さんは、欠落した大阪が復活していくストーリーと、大阪維新の会がとるに足らない政党から府と市で第一党になったというストーリーを巧みに交錯させています。
地盤沈下した大阪という欠落した主人公が、世界で5本の指にはいるような大都市に復活するという遠い目標にむかって、いろいろな障害や困難を乗り越えていきます。そんな主人公を救い出す白馬の騎士の役割が、橋下徹さんであり大阪維新の会であるというストーリーなんです。
1. 何かが欠落した、もしくは欠落させられた主人公が、
→地盤沈下した大阪という欠落した主人公である橋下徹さんが
2. なんとしてもやりとげようとする遠く険しい目標・ゴールをめざして
→世界で5本の指にはいるような大都市に復活するという遠い目標に向かって
3. 数多くの障害・葛藤・敵対するものに立ち向かっていく。
→いろいろな障害や困難を乗り越えていく
見事なストーリーの黄金律になっていますね。
■橋下徹流人をとりこむスピーチ術10のポイント
- 一人称を「僕」にし、無駄な敬語は省く
- みなさーんと何度も呼びかけ連帯感をつくる
- 3つ並べる
- サウンドバイトで心にかみつく
- 似た構文をリフレインしていく
- 偽悪的に振る舞う
- 聴衆によって言葉づかいや内容を変える
- 実施する政策が歴史的大事業だと思わせる
- 聴衆を自分たち側に巻き込んでいく
- 一度チャンスを与えてくださいとお願いする
*サウンドバイトとは、文字通り音でかみつくような「歯切れのいい短い言葉」という意味。刺滋的で誰もが復唱できるような単純なフレーズを繰り返すことにより、人の心を突き刺し、心を動かす手法のこと
■聴き手を巻き込む
橋下徹さんは、自らが主人公になっている物語に
「みんなも一緒に主人公として参加しないか?」
という聴き手を巻き込む問いかけも忘れません。
演説全体が「欠落した主人公の橋下徹さんが、遠く険しい目標に向かって、数多くの敵や障害を乗り越えていく」という黄金律にかなうストーリーになることが人の心が動かされ、巻き込まれる要素になっているのです。それ以外にも、演説やスピーチなどでよく使ったのは
- 「主人公を大阪に据える」
- 「けなしては持ち上げることで感情を揺さぶる」
- 「二者択一テクニック:衰退する大阪か? 新しい体制か?」
- 「その土地の地名を前に出して「〇〇のみなさん」という言い方」
などが挙げられます。
ワイドショーや演説で橋下徹さんの話に引き込まれてしまうのは、今回紹介した秘密があったのです。「独裁者の最強スピーチ術(川上 徹也)」では、その他にもスピーチが上手になる秘訣がたくさん紹介されています。スピーチの参考にしてみてはいかがでしょうか?